映画かと思った

あの年のこの日、友人と食事に行って遅くに帰宅した。

テレビをつけながら寝支度をしていたのだが、自分が何の番組を見ているか分からずつけていたので、映画をやっているチャンネルなのかなと、流していた。

でも、違った。

事実だった。

ライブ映像だった。

最初はビルから煙が出ていたので、高層ビルの火災現場かと思ったら、数分後、ビルに飛行機が突っ込む映像が映し出された。

冷静だが実況していたであろうアナウンサーの声が早口に大声に変わった。

それでも現実の事とは実感が湧かず………寝た。

次の日にことの重大さが流される報道で分かった。

それでもやはり遠い国の話しとしか思えなかった。

その当時、勤めていた派遣先の派遣仲間が言った一言が衝撃的だった。

彼女は長崎県出身。

「こんなこと言っちゃいけないって分かってる、だけど………ザマァみろって思った。」

衝撃的だった。勿論彼女も亡くなった方々には哀悼の意を表している。

でも、自国内で自国民が多数、他国民に殺される事がなかったアメリカへの被爆県からの心の声なのかもと思った。

関東生まれの関東育ちの理子乃助の周りには関東出身がほとんどだったので、他県の過去の色々な思いに触れる事なく生活してきたので、ショッキングでしたが、一つの意見としてあっても仕方がないと思った。

そして、その後知り合った方の会社関係者のお身内にこのテロの被害者がいる事を知った。

しかも、その方はたまたま予定が合わなくなった同僚の代わりにあの日、あのビルで仕事をしていたらしい。

……どっちも地獄だな。行ってテロに巻き込まれても地獄だし、行かずにテロを免れたとしても代わりに同僚を死に追いやったと直接は言われないにしても周りの視線が…地獄だな。

そう、思った。

このテロので幸せになった人はいるのだろうか?

テロの首謀者は幸せになれたのだろうか。

どこにも幸せを感じた人を見出せられない。

戦いってそんなもんだよね。